202号室の、お兄さん☆【完】

賑やかな外の花火とは対照的に、

キャンドルの火だけの静かな202号室でする、線香花火は、

パチパチと小さな音を、天井まで響かせて、

パチパチと、淡い光りを、灯らせて、

私とお兄さんの心はほんのり暖かい気持ちにさせてくれました。




202号室の、嫌な過去が、こんな淡い光りで消える事は無く、
色濃く影を落としても、


いっぱい、いっぱい、

何度も、何度も、灯せばきっと、

影を消し飛ばせるはずです。




「あ、最後の線香花火です」


「あ、ではお兄さんが」

「いえ、此処は、みかどちゃんが!」


「いえいえ。お兄さんの為の花火ですし!」


やんわりお兄さんに線香花火を押し返すと、お兄さんはキャンドルの火を借りて、最後の線香花火を点けました。


「みかどちゃん、良いですか?」


そう言って、甘く可愛く、

膝枕をおねだりしてきたので、

最後の1つは、私の膝枕から、ゆっくり落ちるのを眺めていました。


私からは、夢中で花火を見るお兄さんの横顔が見えて、


愛しくて愛しくて、


頭をぐりぐりしてあげたいです。







「おい。みかどー?」