お兄さんへの気持ちは何も変わらないと安心しつつも、
私も、遠く離れても、
お兄さんを包み込めるぐらい、広い心になりたいです。
私は、まだまだ未熟者ですから……。
早く、この優しい人を安心できる、優しい女性になりたいものです。
「……なかなか、外は静かになりませんね」
そうお兄さんがポツリと落とすように言うので、耳を澄ますと、確かにまだ打ち上げ花火が終わっていないみたいです。
「良い花火無くなりますよね。お兄さんはどの花火が好きですか?」
私は、火が点いた後に、何度も色が変わる花火と、持つ部分が紙でできている花火が好きなのですが、
この分だと残ってなさそうです。
「僕は、……これです」
そう言って、甚平の袖の中から取り出したのは、
――線香花火でした。
「淡く小さな光なのに、綺麗で……落ちる瞬間が悲しくなるのが美しいと思いませんか?」
そう言うお兄さんが、
とてもお兄さんらしくて笑ってしまいました。
「まるで、みかどちゃんの優しさみたいです。小さくて可愛いくて、なかなか気づいて貰えない美しさなんです」
「お兄さんにも似てますよ。
それに、線香花火は、花火のフィナーレの大切な花火なんです」



