202号室の、お兄さん☆【完】


お兄さんへの気持ちは何も変わらないと安心しつつも、

私も、遠く離れても、
お兄さんを包み込めるぐらい、広い心になりたいです。


私は、まだまだ未熟者ですから……。


早く、この優しい人を安心できる、優しい女性になりたいものです。



「……なかなか、外は静かになりませんね」

そうお兄さんがポツリと落とすように言うので、耳を澄ますと、確かにまだ打ち上げ花火が終わっていないみたいです。



「良い花火無くなりますよね。お兄さんはどの花火が好きですか?」


私は、火が点いた後に、何度も色が変わる花火と、持つ部分が紙でできている花火が好きなのですが、
この分だと残ってなさそうです。



「僕は、……これです」


そう言って、甚平の袖の中から取り出したのは、
――線香花火でした。


「淡く小さな光なのに、綺麗で……落ちる瞬間が悲しくなるのが美しいと思いませんか?」


そう言うお兄さんが、

とてもお兄さんらしくて笑ってしまいました。



「まるで、みかどちゃんの優しさみたいです。小さくて可愛いくて、なかなか気づいて貰えない美しさなんです」


「お兄さんにも似てますよ。


それに、線香花火は、花火のフィナーレの大切な花火なんです」