202号室の、お兄さん☆【完】


お兄さんの部屋の前には、畳まれたテントが置いてありビクともしません。

なので、私の部屋の、あの穴から入る事になったのですが、



「お、お兄さん……?」

お兄さんは、私の浴衣の裾をちょこんと持ち、にこにこ笑って、か、可愛らしいです。



「いえ。浴衣姿のみかどちゃん、可愛いなぁって」

か……?


可愛いのはお兄さんです!!



「み、見て下さい! お兄さん! 壊した壁の穴、トンネルみたいでしょ?」

耐震性に優れたコンクリートの壁になりましたが、壊れた穴だけは、周りをピンクのプラスチックで舗装し、通り抜けができるようになっています。


お兄さんは目をパッと輝かせ、裾から手を離すと、すぐにトンネルをくぐりました。


くぐり抜けるお尻まで可愛いです。


私もアルジャーノンを窓辺からテーブルに移し、予備のチャッカマンを持って、トンネルをくぐり抜けました。


「お邪魔します」


「あ、みかどちゃん、電気が点きません」

お兄さんは、スイッチをカチカチしていますが……、電球が取り外されている事に気づいていませんでした。


「アロマキャンドルのお土産がありましたよね。あれに火を……」

そう言った瞬間、


ガラガラ、ドサッ


と、私の部屋から何かが落ちる音がしました。