202号室の、お兄さん☆【完】



皆さんでスイカ割りを楽しんだ後は、スイカの種飛ばしをしました。

新しく増築し、まだ何も植えていない花壇目掛けて、皆さん飛ばします。


「来年にはスイカができているかもしれませんね!」

そう言って、一番活き活きと種を飛ばすお兄さんを見ていたら、自分だけウジウジしているのが馬鹿らしくなって来ました。

種飛ばしを終え、流し素麺セットを片付けていると、辺りはもう薄暗くなってきました。


「畳んだテント、どうするんじゃ?」



「とりあえず、鳴海さんのドア前に置いておきましょ。202号室なら、みかどの部屋から入れるし」




「じゃーん! ロケット花火、百連発!!」

皇汰とリヒトさんとトールさんは両手いっぱいのロケット花火を持っています。

「ぬ? 線香花火が足りぬぞ」

「あ、僕の部屋にまだあるかもしれません」

お兄さんが、ファミリー花火セットを持ちながら思い出したように言います。

「姉ちゃん、予備のチャッカマンも持って来て」

皇汰がロケット花火を並べながら、言いました。

私が皇汰を睨みつけている時、
浴衣の裾を掴まれました。

「あ……」




「一緒に行きましょう。みかどちゃん」


……ああ、3ヶ月ぶりの私へだけの笑顔、です。