202号室の、お兄さん☆【完】



「ほれ、かき氷」

「岳理さん!」


早々とスイカ割りを断念した岳理さんが、いちご味のかき氷を作ってくれていました。


「今日ぐらいは久しぶりに馬鹿騒ぎさせてやれ」

岳理さんのかき氷には、あずきと練乳まで乗ってます! ズルい!!


「……大人ですね。岳理さんは!」

自分だって、お兄さんと話したいくせに!
なのに、宇治金時なんて作って!


「――オオカミがお望みとあれば」
「あ、いえ。大人のままでお願いします」


隣に座った岳理さんに、警戒しつつも、楽しそうなお兄さんを見つめました。


――3ヶ月前までは、お兄さんが居るのが当たり前だった。

一気に昔に持った様です。



「姉ちゃん、花火用のチャッカマンある?」

「あ、部屋にあるよ。分かる?」

「探して来る!」

どれだけ花火が楽しみなのか、皇汰は私と岳理さんが隣同士で座っていてもイヤミの1つも無しに、201号室へ入って行きました。



「後で、花火の時にでも時間作ってやるから」

クシャクシャと髪を撫でる岳理さん。

岳理さんには、全て、お見通しのようです。