「ほれ、かき氷」
「岳理さん!」
早々とスイカ割りを断念した岳理さんが、いちご味のかき氷を作ってくれていました。
「今日ぐらいは久しぶりに馬鹿騒ぎさせてやれ」
岳理さんのかき氷には、あずきと練乳まで乗ってます! ズルい!!
「……大人ですね。岳理さんは!」
自分だって、お兄さんと話したいくせに!
なのに、宇治金時なんて作って!
「――オオカミがお望みとあれば」
「あ、いえ。大人のままでお願いします」
隣に座った岳理さんに、警戒しつつも、楽しそうなお兄さんを見つめました。
――3ヶ月前までは、お兄さんが居るのが当たり前だった。
一気に昔に持った様です。
「姉ちゃん、花火用のチャッカマンある?」
「あ、部屋にあるよ。分かる?」
「探して来る!」
どれだけ花火が楽しみなのか、皇汰は私と岳理さんが隣同士で座っていてもイヤミの1つも無しに、201号室へ入って行きました。
「後で、花火の時にでも時間作ってやるから」
クシャクシャと髪を撫でる岳理さん。
岳理さんには、全て、お見通しのようです。



