202号室の、お兄さん☆【完】


「何をあげて良いか分からず、おばさんに相談したんです。
おばさんが、千景さんは布が少ない服ばかり着ているから、心配だと。女性は体を冷えたらいけないらしく……」

「おばあちゃんがコレを選んだの!?」

「柄は僕が選びました。ウサギとかパンダとかアニマル柄が可愛らしくて」

はにかむお兄さんは大変可愛らしいのですが、千景ちゃんは怒っていいのか喜んでいいのか複雑そうな顔です。



「ありがとう。……今度から花とかにして頂戴」

引きつった笑顔で応えた千景ちゃんに、お兄さんは嬉しそうに笑いました。


「鳴海殿、儂には?」

大量のチーズやお菓子を貰いながらも、ドラガンさんはキョロキョロ見回しています。



「あ、ドラガンさん……というより皆さんにおばさんからプレゼントが!」

そう言って、キャリーケースを開けると、ビニール袋に一枚ずつ入っていたのは、
渋い紺や藍や紅色の甚平でした。


「岳理くんと僕の分もありますよ。今から着替えて素麺流しに着たら夏らしいですよね」

そう言って、私と千景ちゃんにも、桃色と黄色の浴衣をくれました。


「可愛い!!」
「おばあちゃん、和服のセンスは良いわね」

皆さん、思い思いの甚平を持って着替えに消えて行きます。