皆さんで花火をいっぱい選んだ後、202号室に集合しました。

全員で6畳は、狭いし熱いし、楽しいです。



お兄さんはリュックから皆さんへのお土産を出しながら、溜め息を吐き出しました。



「お父さんが、大事な首脳会議のランチの監修を頼まれてるのに、僕の帰国に着いてくると我が儘を言いだしまして……」


思い出したのか、凄く苦悩した表情を浮かべています。



「おばさんと定宗さんも本当は一緒に帰って来る予定だったのですが、僕の犠牲になってくれました」

クッと目尻を拭くと、葉瀬川さんが首を傾げて尋ねます。


「犠牲?」

「おばさんが、家中の鏡を隠したり反対にしたり、落書きしたり……。定宗さんが車の鍵の上に眠ってくれたり……」

「家中の鏡……?」

私が聞き返すと、お兄さんは恥ずかしそうに言いました。


「はい。お父さんは、朝の全身ボディチェックとポージングをしなければ、家から出ないんです」


「すっげぇナルシストなの?」
皇汰が携帯を弄りながら聞くと、お兄さんは頷きました。



「お恥ずかしながら……」


ちょっとだけ、ナルシストなお父さまにも会ってみたいです。