私の背後の方は、滴り落ちる汗を拭うと、優しく笑いました。
「あ、ああああ!!!」
「みかど!? どうした!?」
へたり込む私に駆けつけた岳理さんは、その人を見て、目を丸くしました。
「鳴海……?」
色々はみ出しているリュックを背負い、キャリーケースを片手に、息を切らして汗を流しているのは、
紛れもなく、
3ヶ月ぶりの、お兄さんでした。
「へへへ、暑かったです……」
「…………」
岳理さんは無言で私を抱き起こすと、お兄さんの方へ近づいて行きました。
ボカッ
「いっ! 岳理くん!?」
「お前、何で居るんだよ!!」
「事情があって1日早まったんです! 急遽だったから連絡できませんでしたが、なんで怒ってるんですか?」
殴られた頭をさすりながら、首を傾げるお兄さん……。
岳理さんは昨日から、食事担当やら飾り付け担当やらを振り分けて、歓迎会を計画し、一番お兄さんが帰ってくるのを楽しみにしていたんです。
「岳理さんは多分……、準備万端でお迎えしたかったんだと思います」
「へ……? 準備……?」
お兄さんが更に首を傾げていると、千景ちゃんが持っていたクッキーを落として悲鳴をあげました。
「鳴海さん!?」



