202号室の、お兄さん☆【完】


「美女4匹を前に起きないとは……。葉瀬川さん、お疲れですね」

「葉瀬川のじじぃばばぁがうるせーからなぁ」

岳理さんは奥へ行き、もう一枚布団を取り出しました。
すると、庭からこれまた渋い灰色のスーツ姿の玄理さんが歩いて来ます。

手には大量の……、本?



「もー、岳リンだけ先に帰ってズルいじゃん。おかげで私だけ、葉瀬川のじじぃばばぁに捕まったよ」

と、言った瞬間私と目が合い、ウウンと咳払いしました。


「葉瀬川の当主と奥さんに捕まってたんですよ」

言い直したけれど、ばっちり聞こえてましたよ。


「その本? 冊子? 何ですか?」

玄理さんが適当に縁側に置いたら雪崩が起きたので、拾い集めてみました。



「お見合い写真」

「お見合い写真!?」

深く溜め息を吐くと、布団を持ってきた岳理さんへネクタイを投げつけました。



「唯一くんが36歳だから、結婚させて欲しいと葉瀬川のば……奥さんがうる……心配していてね。唯一くんに渡すように頼まれた物です」

ほら、と見せて頂くと、着物を着た美しい方々ばかりで驚きました。



「爺さんの遺言のせいで、おじさん家が一番、分家で権力あるから、色々圧力が大変なんじゃね?」