「美女4匹を前に起きないとは……。葉瀬川さん、お疲れですね」
「葉瀬川のじじぃばばぁがうるせーからなぁ」
岳理さんは奥へ行き、もう一枚布団を取り出しました。
すると、庭からこれまた渋い灰色のスーツ姿の玄理さんが歩いて来ます。
手には大量の……、本?
「もー、岳リンだけ先に帰ってズルいじゃん。おかげで私だけ、葉瀬川のじじぃばばぁに捕まったよ」
と、言った瞬間私と目が合い、ウウンと咳払いしました。
「葉瀬川の当主と奥さんに捕まってたんですよ」
言い直したけれど、ばっちり聞こえてましたよ。
「その本? 冊子? 何ですか?」
玄理さんが適当に縁側に置いたら雪崩が起きたので、拾い集めてみました。
「お見合い写真」
「お見合い写真!?」
深く溜め息を吐くと、布団を持ってきた岳理さんへネクタイを投げつけました。
「唯一くんが36歳だから、結婚させて欲しいと葉瀬川のば……奥さんがうる……心配していてね。唯一くんに渡すように頼まれた物です」
ほら、と見せて頂くと、着物を着た美しい方々ばかりで驚きました。
「爺さんの遺言のせいで、おじさん家が一番、分家で権力あるから、色々圧力が大変なんじゃね?」



