202号室の、お兄さん☆【完】

「あー、ハニーのおかげで元気出た。仕事片付けよ」

「し、仕事があるならこんな所で、油売らないで下さいよ!!!」

「じゃ、ハニー」

「は、ハニーは止めて下さい!!!!」


縁側を歩く岳理さんの服を掴み、必死で引きずられますが、止まってくれません。


せ、せめて、本当に仕事部屋に行くかだけでも見届けねば!!




「あれー? 何してんのー?」


アンニュイに登場したのは、これまたスーツ姿の葉瀬川さん。
手に持っている箱は、かの有名な、『TATSUMI ARISUGAWA』監修の有名ケーキ屋の名前が入っております。


「何ってハニ「それ、お兄さんのお父様のですか!?」


私が岳理さんを突き飛ばして尋ねると、葉瀬川さんは頷きました。


「みかど女史に新作チーズケーキを渡そうと……。ついでに私の両親が本家に手土産を持って行けとうるさくてね」
「おじさん、ついでにじゃなくて、そっちが本命だろ」


やれやれと溜め息を吐くと、葉瀬川さんはネクタイを緩め、縁側に座り込んだ。


「私のマンションに両親が来ていて、五月蝿いからちょっと休憩させてもらうよ」

そう言うと、布団と枕を持って来て、縁側に寝転びました。

その布団に目掛けて、リカさん、ジェロさん、モナさん、ルナさんが飛び交っています。