202号室の、お兄さん☆【完】



「えー……。 みかど女史? 見たよ、見た。思い詰めた目で、『海に行く』とか言ってたなー」

葉瀬川さんはパラパラと漫画を読みながら、適当に話をしていました。

私、目の前にいるのに。


「どこの海って……? ん~~? ……樹海?」

ひぃぃい!! 樹海は海じゃありません! 葉瀬川さん、適当すぎます。


「あー……。電話切れちゃった」
そう言って、漫画を読みながら椅子に座りました。


すると、今度はリヒトさんに電話がかかってきます。


「ああ。孔礼寺くん。どうしたの?」

リヒトさんが冷ややかな声で告げると、何か岳理さんは叫んでいました。




「俺たちは知らないよ。だから馬鹿な事するなって反対したんだよ」

そう言って、携帯をトールさんに渡しました。





「孔礼寺くんはやる事が陰湿なんだよ。俺に彼女のふりを頼んだり、わざと見せつける位置のレストランを予約させたり」


か、彼女のふり……?

わざと、見、見せつける……?


「それって、みかどちゃんの気持ちを軽んじてる、不誠実な事だからね。もう4回程死んで生まれ変わってくれば?」


そう一方的に言うと、電源を切りました。





「あ……、あの、今のは……?」