「で、も……。アルジャーノンが嫌われてしまったら……」

そう考えただけで涙が溢れてしまう。
手で拭っても拭っても、溢れてきてしまう。
お兄さんも泣き出した私に慌ててしまって、本当に申し訳ないです。

「一緒にあちらを探しましょ? ね?」

お兄さんが掴んだ手を優しく導いてくれたから、私はお兄さんの後をつられて歩き出した。

お兄さんの優しさが嬉しくて、情けなくて、気持ちがどんどん爆発してきて、止まらなかった。


「アルジャーノンは……『金鯱』という、何十年か成長しないと花が咲かないサボテンなんです」

ぐちぐちと鼻を啜りながら、私が話すとお兄さんは、ウンウンと頷いてくれた。


「……学校帰り、テストの順位が下がってて、家に帰りたくなくて。そしたら……公園で、知らない親子がアルジャーノンを鉢植えから移し替えてて」


『可愛くないし、この鉢植えで違うお花、育てましょ』

『咲かないサボテンなんて要らなーい』




「それが、私みたいで。でも、アルジャーノンは私と違って悪くないから、悲しくって……。

アルジャーノンが悪いから花が咲かないわけじゃないのに……」