「ちなみに、お兄さん、エプロンしたままですからね!」
「えっ」

慌てて立ち上がったお兄さんは、自分のエプロン姿に顔を真っ赤にする。

サラサラで色素の薄い髪も、
長い睫毛に大きな瞳も、

くるくる変わる表情も、

優しい笑顔も、
全部ぜーんぶ、見とれてしまいます。

……やっぱり、心臓病なのかな?


「あの、お兄さん」
「はい?」


「日曜日に会った人、今はお兄さんに会えないのかもしれないけれど……。

本当にお兄さんを心配してて、今でも『親友』だって言ってました」

離れてしまっても、思い出は消えない、から。


「……そうですか。

本当に、ありがとう。
みかどちゃん……」


お兄さんが、優しく私の髪を撫でて、
私はその気持ち良さに、ゆっくり目をつぶった……、



「みかどー!!! 大丈夫ー!?」

ら……?

「撫子ー! 倒れておらぬかー!?」

「――明日の、現代文休むのー?」

「みかどちゃーん! 冷えピタ買ってきたよ!」
「みかどちゃーん! 俺は病院まで送るベンツ借りて来たよー」

あ、れれれれ……?

皆さん、ノックもせずに大集合です。