私に大いなる同情を!!

「お? ……あらぁ、凛ちゃんかしこーい」

と、蝶子さまが甘ったるい口調で言います。

「でもね、……ふ、まだまだ浅はかだよ」

う。わ、私ってば……なんだか、ドキドキしてきました。

蝶子さまの吐息が、ああ、私のほっぺたに! ああ、私の喉元――喉元に!?

「ちょっ、会ちょ」

「いただきまーす♪」

「んぁっ」

待ったをかけようとした時にはすでに遅く、蝶子さまは私の首筋にカプリと噛みつきました。

ああっ! 蝶子さまが吸血鬼!? 吸血鬼ならもっと、もっと私の血を吸ってください!! 

ああっ、もっと吸って! 貪って! そしていっそのこと下僕に――

なんてことを考えたりもしましたがっ!

蝶子さまは吸血鬼じゃありません。

ただの、最強の異能者ってだけです。

異能者が『ただの』ってのもよくわかりませんが、とにかく、ただの異能者です。