私に大いなる同情を!!

(かっ、会長がまたなにか、とんでもないなにかを思いついたのでは……!)

ロッカーの隙間(気分は鎧のマビサシ)から外を窺う私。

もちろん息も殺しています。

会長は、キョロキョロと誰もいない室内を見渡しました。

ひたいに手をあてがって、あっちを見てこっちを見て。

「んんー? おかしいわね。さっき、たしかに、凛ちゃんの、匂いが、ここ、から、したん、だけ、ど」

言葉を区切りつつ、クンクンと空中を嗅ぎながら呟く蝶子さまに質問です。

アナタは犬なんですかっ!?

そして私の匂いってなんですか!?

ニオイって!? 異臭!? まさか異臭!?

ちょー気になるんですけど!

「むむむ!」

と会長は、さっきまで私が座っていた椅子に目をつけました。

きゅぴんっ、となにか電波を感じ取ったような眼差しで、でもジリジリと椅子へ近づいていきます。