私に大いなる同情を!!

ふはーっ、と一息ついた蝶子さまが、まるで説明書でも読むみたいに、端的に言います。

「血の池地獄に住む変なヤツ一号、『赤プル』。命名、この私。主食、生肉」

「ちっ、ちっ、血の池地獄って……ええっ!? 生肉って……ええっ!? なっ、なんか私のほうにちょっとずつにじり寄ってきてる! 来てますっ、来てますよ会長!?」

「ハンドパワー?」

「マリックじゃなくて!!」

「じゃあメデイソン・ジェイムズ?」

「誰です!?」

「米国十八世紀大統領のひとり」

「知るかよそんなっ!? あああっ、来てる来てるっ! すっごい来てます!!」

「ハンドパワー?」

「だから違いますってばーっ!!」

そんなやり取りを蝶子さまと繰り返しているうちに――

ちょっ、ちょっとどすいて!?

どうしてどうして!

どうして『赤プル』はいつのまにか、私が見上げなくちゃいけないくらいに巨大化してるんですか?