私に大いなる同情を!!

蝶子さまが、スッと寄ってきます。

「お前のことが好きで、女の子ならすぐ仲良くなれると思ったんだ! ほんとは、男なんだよ!」

「そっ、そうなんですか……」

感動に声が震えて、思わず、私は前へ一歩踏み出ます。

「それじゃあっ、それじゃあ会長へのこの胸のトキメキはっ!? 『今』しかも『突然』湧き上がった、『嘘』みたいなこのトキメキは!? 許されるのでしょうか!? ああっ、神様ん!」

すると蝶子さまは、サッと天を仰いで、かっこよく憂いの表情を浮かべました。

「ああ神よっ、この悩める子羊に、俺と言う名の安らげる地を与えたまえ! さあおいでっ、凛! 抱き締めてあげよう!」

そして差し出されるのは、ああ、先輩の可憐な手。

爪なんてもう、花びらのようです。

「せっ、せんぱーい……!」

そして私は、涙をうるうると後ろに飛ばしながら、駆け出しました。