帰宅した後も、気まずくなったりせず普段通り接してくれる裕也。
なんだか、普段通りなのが少しむかつく。
私ばっかり意識しちゃってるみたいじゃない。
キスのことだって、本当はもっと早く聞きたかったけれど、なんとなく聞けなかったり…
告白されたことだってずっと気になって、裕也のことが頭から離れない。
「ゆあ」
「は、はい⁉︎」
急に呼ばれ振り返ると、上半身裸の裕也が現れた。
「…きゃーーーー!」
「は?」
は?じゃないよ!こっちはさっきから意識してて、いきなり現れた上に裸とか!
「なっ何?」
裕也に背を向け聞く。
「ああ、そっちにさシャンプーの詰め替え置いてない?」
「ちょ、ちょっと待ってね?」
辺りを見渡すと案外近くにあった。
手に取り、伏し目がちに近づく。
「何、意識してんの?」
そう少し笑いの混じった声で聞かれる。
「だって!」
「上半身だけじゃん」
「そうだけど!」
反射的に顔を上げてしまう。
「うひゃっ」
シャンプーを投げつけ両手で顔を覆う。
「今、がっつりみただろ」
「う、うう、うるさい!シックスパック!」
「見てんじゃん」
そう言い、笑われた。
こういう時、いつも裕也にはかなわない。
もしかして、この気まずい空気を変えようとしてくれた…?