「じゃあ、行くか」


そう言って歩きだす裕也。


「わっ」


踏み出したところが段差になっているのに気づかず、よろめく私。


「ほんと危なっかしいな」


よろめいた私の腕を掴み、支えながらそう言う。


以前の気だるそうな言い方とは違って、なぜか優しく聞こえた。




「ありがと」


支えてくれたことにお礼を言うと、少し俯く裕也。


もしかして、照れてる…?


「ふふっ」


それが可笑しくて、つい笑ってしまう。



「笑うな」


顔を手で多いながら、ふてくされたような言い方でそう言われてしまう。