俺様の熟した恋の実~10years~




それに……あたしが初めて好きになった人。


初恋の相手が涼雅くんだった。


「あたしは……羽音。天野羽音…」

「羽音……幼稚園一緒だったな」

「久しぶりだねっ。卒園以来だよね」

「そーだな。つーかお前さ、佐々木じゃなかったっけ?」

「親がさ……卒園したあと別れちゃって…」

「…ごめん」


視線を逸らして謝る涼雅くんの横顔は、どこか大人になってる。


卒園してから会ってないから離婚のことも知らないんだよね。



「よく遊んでたよな~…幼稚園の時」

「ほとんど意地悪されて、あたしが泣いてたけどね」

「泣き虫ってイメージしかねーわ。気も弱いし」

「もうそんなんじゃないもん。泣かないし」

「けど泣かしてばっかじゃなかったよな」


おもちゃ取られたりされてたけど、意地悪ばっかじゃなかった。


気の弱いあたしが泣いてたら、いつも声かけてくれてたのが涼雅くんだったから。