それに……あたしが初めて好きになった人。
初恋の相手が涼雅くんだった。
「あたしは……羽音。天野羽音…」
「羽音……幼稚園一緒だったな」
「久しぶりだねっ。卒園以来だよね」
「そーだな。つーかお前さ、佐々木じゃなかったっけ?」
「親がさ……卒園したあと別れちゃって…」
「…ごめん」
視線を逸らして謝る涼雅くんの横顔は、どこか大人になってる。
卒園してから会ってないから離婚のことも知らないんだよね。
「よく遊んでたよな~…幼稚園の時」
「ほとんど意地悪されて、あたしが泣いてたけどね」
「泣き虫ってイメージしかねーわ。気も弱いし」
「もうそんなんじゃないもん。泣かないし」
「けど泣かしてばっかじゃなかったよな」
おもちゃ取られたりされてたけど、意地悪ばっかじゃなかった。
気の弱いあたしが泣いてたら、いつも声かけてくれてたのが涼雅くんだったから。

