俺様の熟した恋の実~10years~




人が少なくなったホームで電車を待つ。


真夏とはいえど夜は少し肌寒い。


駅に吹く風が、羽音の長い黒髪をなびかせる。


「……好きだわ。羽音」

「えっ?なに?」

「お前ほんと天然っつーか……バカ!」

「バカじゃないもん!人並みに勉強できるよ…」

「うるせー天然」


たまに抜けてるとこも好きだ。


空いているベンチに二人で座って、さりげなく手を握る。



「涼雅!あたしの誕生日いつでしょーか!」

「10月25日……だっけ?」

「えっ!?なんで分かるの!この前言えなかったよね」

「アルバム見たから。お前ずっと俺んとこにいたんだな」

「涼雅がいつもあたしのとこにいたんだよ~」


俺が近くにいないと、いっつも泣いてた羽音。


それが心配で側離れられなかったんだよ……。


泣き虫なかわいいお前のせい。