俺様の熟した恋の実~10years~




【涼雅side】



夜の9時過ぎに羽音が帰って来た。


それも、ボケーっとして抜け殻みたいになって。


どっからどう見ても何かあった感じ。


「おい、羽音……どした?何かされたの?」


俺の言葉を無視して、いきなり部屋に入って来るなり泣き崩れる。


久しぶりに入って来たら泣くって……俺どうしたらいい?


「なんで泣いてんだよ?……俺に言ってみ?」

「んっ……ふえっ…」

「泣いてちゃ分かんねーだろ」


背中を撫でるとビクッと身体を大きく反応させる。


そこまで、びっくりされるとちょっと傷付く……。


しばらく俺が背中を撫でてると、嗚咽とともに絞り出すように言った言葉。



「裕紀くんにっ……キ、キス……された……」

「……は?」

「裕紀くんにキス………されたの……」


目頭を赤くして言う羽音の言葉が信じられない。


ってゆうか信じたくない。