俺様の熟した恋の実~10years~




【羽音side】



‘’アイツんとこいっちまえ‘’



涼雅のあの言葉……たった一言があたしを何日も悩ませる。


消したくても消えてくれない……。


ほんとは「ごめんね」とか気の効いた言葉を涼雅に言いたかったんだよ?


でも、これも全部素直になれなかった仕打ち。



「はぁ~……」

「どうしたの?羽音……元気ないね?」


あたしの顔を覗き込み心配した面持ちの雪花ちゃん。


昼休みお弁当を食べながら、一人で感傷に浸ってしまう。


「あたしのせいでね、涼雅を傷つけちゃった……。ははっ、バカなことしたよね~」

「何があったか知らないけど、ため息つきすぎよ」

「……あたしが悪いの……」


涼雅は悪くない。