俺様の熟した恋の実~10years~




「楽しかった?兄ちゃんとのデート」

「別にデートじゃないもん。ケーキ奢ってもらっただけ」


冷めた顔付きで、勉強道具を机に拡げる羽音。


俺も俺で、言いたいこととは逆の言葉を羽音に投げ付けてしまう。


バカバカバカーー………


ブーッ、ブーッ、ブーッ………羽音のケータイが机の上で震える。


「誰?」

「誰でもいいじゃん……」

「いいから」

「……裕紀くん…。涼雅はさっ……裕紀くんのこと嫌いなの?」


嫌いも何もそんな切なそう目で見られたら、何も言えなくなんじゃん……。


羽音の悲しい潤んだ目を逸らして最後に一言言い放つ。



「………アイツんとこいっちまえ」