「だから、友紀に言われてんだ。人に優しい人間になれって」
「……裕紀くんは優しいと思うよ?」
「え!ヤバイ……照れる…」
あたしから顔を逸らしてぷいっと窓の外を見てしまう。
意外とシャイでかわいい。
あたしの話はママから聞いてるみたいで、全部知ってた。
裕紀くんの方が切ない思いしてるよね……。
「……明るい話すっか。羽音ちゃんは将来決めてんの?」
「大学だけなら。その先はまだ……。裕紀くんは?」
「俺は教育学部の3年生!つーことで数学教師希望!」
「えっ、数学!?」
この人から数学なんて二文字思い浮かばなかった!
頭いいの!?

