「北岡雪花さん。まだまだ未熟でバカな俺だけど……結婚して下さい」
穏やかに吹く春風が、あたし達の横を通り過ぎる。
雪花ちゃんの黒髪はその風になびいて、涙をためた目を見せた。
「……はい。よろしくお願いします…!」
笑顔とともに溢れた涙は、今までにない喜びの涙。
初めてこんなに大勢の前で見せた雪花ちゃんの涙は、すごくキレイだった。
「ヤバイ……すっげー嬉しい…。俺、絶対にせっちゃんのこと幸せにするからな?」
「当たり前よ。浮気とか絶対に許さないんだからっ」
「俺はせっちゃんに一途。浮気とかしたことねぇし!」
「あたしも……カイに一途だから…」
微笑ましい二人を見てると、あたしまで嬉しくなって……
涼雅と笑いあった。

