俺様の熟した恋の実~10years~




紅白の垂れ幕と、どこかで聴いたことあるようなクラシック。


卒業式はゆっくりと流れてく。


やっぱカイさん背高いなぁ~……。


俺らの席からはちょうどカイさんの背中が見えた。


「やっぱカイさんカッコイイわ……。俺抜けない」

「咲夜が泣きそうとか珍しい」

「俺だって泣くんだよ……!」

「明日は雨……いや、雪降るんじゃね?」


「うるせー」と力なく言って目をゴシゴシ擦る。


意外と咲夜は友達想いだから、かなり涙もろい。


ずっと俺の隣で鼻をすする音が聞こえた。



隣の隣のクラスの雪花を見ると、相変わらず無関心そうなポーカーフェイス。


内心すっげー悲しくてたまらないんだろうな。


羽音は切なそうな顔をしてジーっとカイさんの背中を見ていた。