俺様の熟した恋の実~10years~




【羽音side】



どうしよう…。


あたしほんとにバカだよね……。


ケータイ無くしちゃった上に無くした場所を覚えてないなんて……。


迷惑かけたくない涼雅に、迷惑かけちゃう。


あたしを教室まで送ってくれた涼雅の優しさが痛いほど染みる。


「不安そうな顔すんなって。バカみたいに笑ってろ」

「うん……。誰かに盗まれてたらどうしよう!」

「そん時はそん時でまた考えればいいじゃん。早く行けって」


そう言ってあたしの背中をトン、と押す。


不安だけど涼雅を信じる。


絶対に見付けるんだから!