俺様の熟した恋の実~10years~




朝から羽音がいるおかげで、学校に行く憂鬱感は少し軽減された気がする。


バスも電車もめんどくさくない。


「何か高校生って感じ!バスと電車で通学するとか♪」

「めんどい。交通費かかるし、人混みすげーし」

「一人ならそうだけどー……。あたしには涼雅がいるから!」

「ふーん……。俺は相変わらずめんどいけど」

「ひーどーいっ!」


ギャーギャー騒ぐ羽音と混雑する電車に乗った。


もちろん、座れる席なんて一つもない。


この空間には何回乗っても慣れねぇや……。


「ねー涼雅?あたしの目の前来てよー」

「なんで?」

「なんでって……これじゃあ、あんまり話せないじゃん…」

「家でも学校でも話してんだろ。はい、危ないから前向く」

「涼雅ー……」


俺が羽音の後ろに立つのは痴漢防止。


俺が後ろに立ってれば絶対に触れないじゃん?


羽音に触ったり、泣かしたりしていいのは俺だけ。