朝から羽音がいるおかげで、学校に行く憂鬱感は少し軽減された気がする。
バスも電車もめんどくさくない。
「何か高校生って感じ!バスと電車で通学するとか♪」
「めんどい。交通費かかるし、人混みすげーし」
「一人ならそうだけどー……。あたしには涼雅がいるから!」
「ふーん……。俺は相変わらずめんどいけど」
「ひーどーいっ!」
ギャーギャー騒ぐ羽音と混雑する電車に乗った。
もちろん、座れる席なんて一つもない。
この空間には何回乗っても慣れねぇや……。
「ねー涼雅?あたしの目の前来てよー」
「なんで?」
「なんでって……これじゃあ、あんまり話せないじゃん…」
「家でも学校でも話してんだろ。はい、危ないから前向く」
「涼雅ー……」
俺が羽音の後ろに立つのは痴漢防止。
俺が後ろに立ってれば絶対に触れないじゃん?
羽音に触ったり、泣かしたりしていいのは俺だけ。

