俺様の熟した恋の実~10years~




1日あたしは考えて悩んで………


涼雅んちに行くにも結局は、住み慣れた街じゃなくなるけど………


でも大切な人が側にいてくれる。


「……涼雅。あたし……涼雅のとこに行ってもいい?」


青く澄んだ秋空の放課後。


夕日が射し込んでく中、あたしは歩く涼雅の手をぎゅっと握って言う。


「つーかさ……そうしてくんないと、羽音が近くにいなくて俺が困る」

「……ありがと…。いっつも、わがままばっかでごめんね…」

「分かったから泣くな!ほら、鼻水汚ねぇから!」

「ほんっとにごめんねっ………。わぁっ…涙止まんない…」


あたしをぎゅうっと抱きしめて、背中を擦ってくれる。


「ほら、鼻水かめ」

「ふふっ………」

「笑うなバカ!俺が羽音の鼻水取ってやってんだぞー」


不器用な手付きであたしの鼻にティッシュをつける。


嬉し涙も、安堵の涙も全部全部………


涼雅のおかげ。