1日あたしは考えて悩んで………
涼雅んちに行くにも結局は、住み慣れた街じゃなくなるけど………
でも大切な人が側にいてくれる。
「……涼雅。あたし……涼雅のとこに行ってもいい?」
青く澄んだ秋空の放課後。
夕日が射し込んでく中、あたしは歩く涼雅の手をぎゅっと握って言う。
「つーかさ……そうしてくんないと、羽音が近くにいなくて俺が困る」
「……ありがと…。いっつも、わがままばっかでごめんね…」
「分かったから泣くな!ほら、鼻水汚ねぇから!」
「ほんっとにごめんねっ………。わぁっ…涙止まんない…」
あたしをぎゅうっと抱きしめて、背中を擦ってくれる。
「ほら、鼻水かめ」
「ふふっ………」
「笑うなバカ!俺が羽音の鼻水取ってやってんだぞー」
不器用な手付きであたしの鼻にティッシュをつける。
嬉し涙も、安堵の涙も全部全部………
涼雅のおかげ。

