俺様の熟した恋の実~10years~




引っ越しの期日はどんどん近付いてきた。


元気のないあたしを見兼ねた涼雅が、4時限目
をサボって図書室に連れて来てくれた。


「そんな顔やめろ。羽音らしくねぇぞ?何かあったの?」

「ん~………あたし…どうしていいか分かんないの」

「相手の人と気合わないとか?」

「ううん…。ママに着いてって新しい家族になるか、ここに残っているか…」


もちろん、涼雅と離れるのはすっごくヤダ。


でも友紀さんもいい人だし………


あたしのわがまま聞いてもらうの悪いから…。



「俺は羽音が側からいなくなんのヤダ。側にいろ」

「でも………引っ越しの準備だってもう進めちゃってるし…」

「そんな悩むくらいなら俺んち住むか?」

「へ……?涼雅んち?悪いよ!」

「俺がただ単に側にいてほしいだけだし。母さんも羽音のこと気に入ってるから」


張り詰めてた心が、優しい涼雅の言葉で溶かされていく。


あたし……涼雅に甘えようかな…。