引っ越しの期日はどんどん近付いてきた。
元気のないあたしを見兼ねた涼雅が、4時限目
をサボって図書室に連れて来てくれた。
「そんな顔やめろ。羽音らしくねぇぞ?何かあったの?」
「ん~………あたし…どうしていいか分かんないの」
「相手の人と気合わないとか?」
「ううん…。ママに着いてって新しい家族になるか、ここに残っているか…」
もちろん、涼雅と離れるのはすっごくヤダ。
でも友紀さんもいい人だし………
あたしのわがまま聞いてもらうの悪いから…。
「俺は羽音が側からいなくなんのヤダ。側にいろ」
「でも………引っ越しの準備だってもう進めちゃってるし…」
「そんな悩むくらいなら俺んち住むか?」
「へ……?涼雅んち?悪いよ!」
「俺がただ単に側にいてほしいだけだし。母さんも羽音のこと気に入ってるから」
張り詰めてた心が、優しい涼雅の言葉で溶かされていく。
あたし……涼雅に甘えようかな…。

