そんなのあたしには考えられないよ……。
転校しちゃったら、涼雅と離れて会えなくなっちゃうんだよ。
ママは大切な人の側にいられるかもしれないけど、あたしは大切な人と離ればなれになる。
そんなの……嫌…。
「あたし……ここに残るよ」
「やっぱり嫌?新しいお父さんは?」
「それは嫌じゃない。ママが選んだ人だもん。ここを離れるのが嫌なだけ」
「そっか……。でも…明後日新しいお父さんに会ってくれないかな?」
申し訳なさそうに笑ったママにあたしは頷いた。
ママが選んだ大切な人だから迷惑はかけたくない……
でも、あたしはここに残りたいの。
「………それだけだから…。いきなり話してごめんね羽音!」
「ううん。大丈夫。明後日予定空けとくからね」
「ありがとう。また明日にでも場所指定するわね」
さっきとは違って、顔が明るくなったママ。
この状況を受け入れるのが精一杯のあたしと違って、すぐパソコンに向かい仕事を始める。
大人って……こんななんだ…。

