咲夜が出てって静かになった個室。
カイさんが水を一口飲んでから俺に話した。
「涼雅。雪花と仲良くしてくれてありがとな」
「えっ?いきなりなんで?」
「いやーっ!なんか言いたくなって。羽音ちゃんと涼雅には感謝してるよ」
「俺らなんかしたかな……。つーか俺の方が雪花に感謝してる」
「うちの雪花が、人のために何かしたの!?」
あれは確かよく晴れてた秋だった。
ちょうど、俺と羽音が付き合い出して2ヶ月くらいの時。
「羽音がイジメられてたの助けてくれたのが雪花だから」
「それは褒めてやんねーとな!でも困ってる人助けんのって当たり前じゃん?」
「でもアイツはすごい。女子全員敵に回してでも助けた……羽音がなつくはずだよな」
「ちょうどその時期かな?雪花、友達できたーって喜んでたんだよ」
実際、雪花はあんまり感情を表に出さない。
喜んでるのか悲しいのかよく分かんねぇけど、喜んでたら何より。

