カイさんが転校して来て、一気に広まったカイさんブーム。
女子は口を開けば一言目に『カイ』って感じ。
放課後にあたしは久しぶりに図書室で涼雅と話す。
「はぁ~……」
「なしたの?羽音が悩むなんて珍しいな」
「あたしだって悩みます~」
「雪花とカイさんのこと、か?」
「さすが涼雅……図星だねっ…」
あたしは涼雅の隣に座り、何気なく涼雅の肩に身体を預ける。
落ち着くー………。
あたしの頭をポンポンと叩きながら、優しく撫でてくれた。
「ほんとに会えなかったら……姿見るだけでも満足すんだよ」
「話さなくてもいいの?寂しくない?」
「寂しいけど、元気にやってる姿見るだけで安心するってゆーか」
「涼雅は……涼雅はそれで満足するの?」
「俺はしない。触んないと落ち着かねぇよ」
あたしをぎゅっと抱きしめた。
そのぬくもりにあたしは大人しく包まれる。
幸せ…。

