俺様の熟した恋の実~10years~




カイさんが転校して来て、一気に広まったカイさんブーム。


女子は口を開けば一言目に『カイ』って感じ。


放課後にあたしは久しぶりに図書室で涼雅と話す。


「はぁ~……」

「なしたの?羽音が悩むなんて珍しいな」

「あたしだって悩みます~」

「雪花とカイさんのこと、か?」

「さすが涼雅……図星だねっ…」


あたしは涼雅の隣に座り、何気なく涼雅の肩に身体を預ける。


落ち着くー………。


あたしの頭をポンポンと叩きながら、優しく撫でてくれた。


「ほんとに会えなかったら……姿見るだけでも満足すんだよ」

「話さなくてもいいの?寂しくない?」

「寂しいけど、元気にやってる姿見るだけで安心するってゆーか」

「涼雅は……涼雅はそれで満足するの?」

「俺はしない。触んないと落ち着かねぇよ」


あたしをぎゅっと抱きしめた。


そのぬくもりにあたしは大人しく包まれる。


幸せ…。