あたしの読み通り女子の大軍が……!!
化学室への移動教室で通るのは3年E組。
そこはカイさんのクラス。
「うわぁ~………雪花ちゃん…あ、あの大軍はっ」
「カイ目当てでしょ?早くしないと遅れるよ」
「な、なんか言って来ないの?」
「そんなことしたら簡単にバレちゃうでしょ」
クスッと笑った雪花ちゃんの背中にあたしは着いてく。
廊下にいるカイさんに雪花ちゃんは何も言わずに通り過ぎる。
カイさんも声をかけない。
あたしが軽く頭を下げると苦笑してあたしを見た。
「嫉妬しないの?」
「嫉妬してたら俳優の彼女なんてつとまらないわ」
「雪花ちゃんはやっぱり強いね」
「そんなことない。あたしだって普通の人間なんだしね?」
キレイな黒髪をなびかせて先を歩く姿は、やっぱり大人。
カイさんの隣が似合う人は、雪花ちゃんだけだ。
そんなことをあたしは思った。

