俺様の熟した恋の実~10years~




あたしの読み通り女子の大軍が……!!


化学室への移動教室で通るのは3年E組。


そこはカイさんのクラス。


「うわぁ~………雪花ちゃん…あ、あの大軍はっ」

「カイ目当てでしょ?早くしないと遅れるよ」

「な、なんか言って来ないの?」

「そんなことしたら簡単にバレちゃうでしょ」


クスッと笑った雪花ちゃんの背中にあたしは着いてく。


廊下にいるカイさんに雪花ちゃんは何も言わずに通り過ぎる。


カイさんも声をかけない。


あたしが軽く頭を下げると苦笑してあたしを見た。



「嫉妬しないの?」

「嫉妬してたら俳優の彼女なんてつとまらないわ」

「雪花ちゃんはやっぱり強いね」

「そんなことない。あたしだって普通の人間なんだしね?」


キレイな黒髪をなびかせて先を歩く姿は、やっぱり大人。


カイさんの隣が似合う人は、雪花ちゃんだけだ。


そんなことをあたしは思った。