二人暮らしの狭いマンションの鍵を開けて、涼雅を入れる。
女二人の生活感。
そのままリビングに入ってすぐ右側にある、あたしの一人部屋。
「散らかってるけど気にしないで。まさか涼雅来ると思わなくて!」
「ぬいぐるみ……ってかパンダばっかだな」
「パンダ好きなの。これ…このぬいぐるみ未空がくれたんだよ♪」
「文化祭ん時持ち歩いてたヤツじゃん!なぁ、メイド服…」
「着ません!!」
ピンクのベッドを背もたれにして、部屋のテレビを見る。
あたしは未空からもらったパンダ。
涼雅はベッドにあったクタクタのパンダを抱きしめて二人でくっつく。
「部屋にテレビあるとか何も不自由ねぇじゃん」
「冷蔵庫があればもっといいんだけどなぁ~」
「それくらい立って動け!」
「ほとんど休みの日もママいないから、ずっと部屋にいるんだもん」
「寂しい?」
「少しだけ……」
女で一つ10年間育ててくれたママに、わがままは言いたくない。
でも、やっぱりたまーに寂しい…かも。

