月明かりだけでしか 相手を判断出来ねえけど 兎に角綺麗だった 真っ黒なフードを目深く被ってるが 顔だけは露になっていた 肌の白く、栗色の柔らかそうな 髪がフードから覗かせていた 『お前…何で殴る』 今迄口を開かなかった綺麗な人が 透き通った声で俺に話掛ける でも俺にその言葉は愚問でしかない 「ハハッ…愚問だよ」 俺は目に掛かる長い髪を 手で掻き分ける 俺から愚問、と言われた奴は 若干、眉間に皺を寄せる