ーーーーーーーーーー ーーーーー 微かに残る意識の中で、涼に抱きしめられているのを感じる。 誕生日は始まったばかりなのに、もう幸せで満たされている。 お互いに、何も話さない。 けど、この沈黙は嫌な沈黙じゃないよ。 涼の温かい体温を、素で感じながら、私の微かな意識も遠のき始める。 「玲奈、愛してる。」 「………私も………愛してる…」 最後にそれだけ紡ぐと、完全に意識は消えた。 ただ、一瞬だけ…… 彼の体温が冷たくて、火照った身体に気持ち良く感じたのは… 気のせいだったのかもしれない。