《涼太side》 『今だけでいいから』 そう言って抱きしめる愁の手を、玲奈は拒まない。 「なんでだよ……」 玲奈と愁にちゃんと聞こうと思ったんだ。 あの野々崎の言葉を確かめようと、2人を探した。 だけど……… 「野々崎の言うとおりかよ。」 廊下から見える、保健室の中で。 2人は抱き合っていた。 「…………」 こんなはずじゃねぇのに。 どうしてだよ……? 俺は悔しくて、悲しくて、嫉妬でいっぱいだった。 もう、見たくなくて。 その場を離れるために足を動かした。 「それで、いいの?」