君といた夏


《涼太side》



『今だけでいいから』



そう言って抱きしめる愁の手を、玲奈は拒まない。




「なんでだよ……」



玲奈と愁にちゃんと聞こうと思ったんだ。


あの野々崎の言葉を確かめようと、2人を探した。



だけど………




「野々崎の言うとおりかよ。」



廊下から見える、保健室の中で。


2人は抱き合っていた。




「…………」



こんなはずじゃねぇのに。


どうしてだよ……?




俺は悔しくて、悲しくて、嫉妬でいっぱいだった。



もう、見たくなくて。


その場を離れるために足を動かした。






「それで、いいの?」