「椎木くん、手……」 椎木くんの指が、 あたしの頬に触れていたから。 「今にも泣きそうな顔してたから、無理に理由を聞いたんだ。ごめん、痛くなかった?」 頬に触れていた指はいつの間にか離れていて、スッと腕から伝わっていた力が消えた。 「う、ううん。全然……」 かぁぁと赤くなる頬。 ぽかぽかと温かい心。 そっか。あたしの話を聞くために、 引き止めてくれてたんだ。 「……ありがとう」 優しいんだね、椎木くん。 チラッと見ると、笑い返してくれた。