リア「でもでも、年が離れてるのとか慣れてますってそつない行動とか…正直遊ばれてるとかからかわれてるとか思ったよね?」

(同意を求められた巽社長夫人は激しく首を上下。甲斐社長と巽社長は表情が引き吊り、及川副社長は大爆笑)

東雲「私も…お付き合いされていた女性【たち】とデート先を毎回予約していて、そんな人と結婚するとは思いもしませんでしたよ」
リア「ありえなぁ~い」
呉羽「そんなのないぃ!切なすぎる~」
及副「………」
リア「超ありえないっ」
呉羽「東雲さんすごい」
リア「過去の女に会った時点で即アウトだよね」
呉羽「会いたくないし、懐かしそうに話なんてされたらごめんなさいって感じかも」
リア「それ最悪ぅ~!昔の女まで大事にする男とは絶対付き合いたくないっ」
呉羽「そんなの論外!」

(女子高生のような辛辣な会話を繰り広げる妻らに最早知らぬ存ぜぬを決め込む甲斐社長と巽社長)

リア「呉羽さんてレジ立ってる時ナンパされたりする?」
木下「よく何時までかって聞かれてるよな?巧い事全部スルーしてるけど」
リア「でも正直ごめんって人いない?」
呉羽「…私的には…アウト、な人いる」
木下「変にファンが多いからな、呉羽ちゃん。遊びに誘われたりもしてるし」
リア「あ!今度カラオケ行こ?初音さんと」
呉羽「行きたい~」
木下「呉羽ちゃん上手いもんな~?異動の歓迎会ん時は驚いた」

(巽社長の表情があからさまに険しくなる。及川副社長は妻に何かを必死で謝っている。及川社長は甲斐社長の二児と穏やかに戯れている)


で…ではそろそろ個人的にお話を。まず甲斐社長。今回の……。

――中略――

それでは奥様方、旦那様の仕事人以外の素顔を教えて下さい。

リア「子煩悩ですよ。子育ては率先してやってくれますし、素敵な旦那様です」
東雲「仕事をしていてもだらしない人ですが、私にとってこの人以上の人はいません」
呉羽「こんな素敵な人…私には勿体ないのに、こんなに大事にしてくれるんです。私の為に心を砕いてくれて…一生に一人…会えたら最高に幸せになれる人です」


ありがとうございます。では旦那様方から奥様方にお願いします。

甲斐「奇妙なもので…決していい出会いではなかった、寧ろ最悪の形だったが…お前が今生きている事を…傍にいて、いられる事を…家族を持てた事を誰でもない、お前のご両親に感謝している。何に変えても守ると誓おう」
及副「言い方は悪いが灯台もと暗しで、四年も一番近くにいた初音とこうなるなんて、昔の俺には考えも付かなかった。でも今は…他なんて考えられねぇよ。一生、逃がしゃしねぇから覚悟してろ?」
巽「一生に一人、出会うべくして出会う相手がいると聞いた。君は俺にとってその唯一だ。ここに至るまでさほどの期間はなかったが、これから先まだ時間はある…ゆっくりでも構わない、今以上に想い合っていこう」


どうもありがとうございました。今後のご発展を心からお祈りします。



―――――――――――

木下「独りモンにゃ辛いなぁ」
及川「そうだね、でもまぁ仕方ない。頑張れよ、木下」
木下「は!?お前は?」
及川「実は婚約者がいてね」
及副「さっさと結婚しちまえよ」
東雲「お付き合いは三年目でしたね」
及副「んな前からだなんて…しかも婚約者なんて聞いた事ねぇし」
及川「今じゃ珍しい奥ゆかしい人だからね。いずれこうして会わせたいとは思ってる」
甲斐「次回は是非お連れ下さい。リアがうるさいのでね」
リア「嬉しいんだもん。お姉ちゃんが増えるんだから」
東雲「賑やかになりますね」
呉羽「楽しみだね、省吾さん」
巽「君が笑ってる事が一番だ。早く実現するといいな。あとは木下だけだ」
木下「うるさいっ!」
呉羽「奇跡でもないと、出会いってなかなかないですもんね」
及副「じゃあ俺たちは奇跡の宝庫?」
巽「お前もあやかれるといいな」
木下「けっ」



(取材を終えた後はスタッフ全員にも、フェイバリットから器具を持ち込んで下さって、コーヒーの差し入れを頂いた。また暫し、取材とは無関係に歓談させて頂いたが、癒着やコネではない、こう言う和やかな企業間・個人の繋がりこそが、経済界のみならず現代には必要ではないかと考えさせられた)
―――インタビュアー:田代 健一―――