内藤さんの方もさっきに比べて落ち着いているようだ。 常に高圧的な人なのかと思っていたけど、そうではないらしい。 「拓郎のことは、本当に申し訳ない。情けない息子だった。しかし……」 「えぇ、分かってます。その子に罪はない。」 内藤さんは溜め息をついた。得意のあからさまなヤツじゃなく、静かな溜め息。 膝の上で組んだ指をじっと見つめたまま黙る内藤さん。 すると奥さんが初めて口を開いた。 「私達は、怖いんです。」