「いや、いや、いや。」 怖がる母の姿を見て、僕は切なくなる。 振り返り、内藤さんをキッと睨む。 内藤さんは若干たじろぎ、気まずそうに顔を背けた。 「すまない、カスミ。驚かせてしまった。」 「外で話しましょう。ロビーにソファーがある。」 祖父の言葉で話し合いの場所を移すことになった。 僕は少し迷った後、祖父に付いて一緒にロビーへ向かう。 部屋を出る時母を振り返ると、少し落ち着いたように見えたのでとりあえず安心した。