ただ、名前を呼んで


高い高い壁に囲まれた、大きなわりにシンと静かな建物。

僕はためらいも無くその中に入る。

入口に居るおじさんとはもう顔見知りだ。

ペタペタとスリッパを鳴かせて辿り着いたのは、建物の2階の一番奥。
一際静かな白い部屋。

大きな音をたてることもなくスルリと滑るように開く扉。

その扉を開くと、いつも一瞬目が眩む。



「こんにちは、お母さん。」