「お前が誰かを大事に思える人間になったことは、私も嬉しいよ。」 穏やかな口調で話す祖父。その温和な性格に、幾度となく救われたし、憧れた。 そこへ、祖母がカップに紅茶を用意して持って来てくれた。 「拓ちゃん。この人は拓ちゃんが可愛くて仕方ないんだよ。」 「お前だってそうだろう、春子。」 祖母は僕を『拓ちゃん』と呼ぶ。 一度、そんな呼び方恥ずかしいよと言ってみたけれど止めてくれなかった。 「だって拓ちゃんは拓ちゃんだもの。」とニコやかに言われれば、僕に勝ち目はなかった。