「二人とも僕を大事にしてくれて感謝してる。僕にとっても二人は大事な家族だよ。」 精一杯の気持ちを込めて、伝えたいことを間違えないように。 祖父は真っ直ぐに僕を見る。その強い瞳に捕えられても、僕は動揺したりしない。 「そしてもう一人、大事な人が居るんだ。それは、お母さん。僕のもう一人の家族。」 祖父はゆっくりと息を吐くと、手元にあったリモコンでテレビを消す。 シンと静まった部屋の空気を、祖父の咳ばらいが震わせた。