科目は理科。 僕は教科書に載っているタンポポの写真に目を落とす。 母に会いに行く道の途中で見付けたタンポポを思い出す。 母に見せてあげたかったけど、僕は摘み取ろうとはしなかった。 野に咲くタンポポはふわふわと風に揺れて可愛いけれど、摘み取るとすぐに萎びてしまうから。 いつか母を連れて散歩にでも出られれば、可愛く揺れるタンポポを一緒に見られるのに。 僕がぼんやりとしていた間にも教室の中は相変わらず白熱していた。 僕は完全に蚊帳の外な気分だ。