母は釘付けになったように僕から視線を逸らさない。 その視線に捕われて、身体が硬直していくような感覚を覚えた。 だけどなぜだか、視線は逸らせない。 暫くの沈黙が僕らを包む。 「ちょっと、こっちに来て?」 母がその沈黙を破り、僕に手招きをした。 母に手招きされることなど初めてで、戸惑ったけれど僕は素直に近寄った。 母の瞳の中に自身の姿を確認できるほどの距離。 母の瞳が僕を映し出している事実が嬉しくて、だけど少し怖くて。 僕はなんだか泣きそうになる。