「水を張った浴槽に腕を沈めていたらしい。発見したのは……カスミさんだ。」 頭を鈍器で殴られたみたいに、目の前がぐらぐらと歪んだ。 心臓が急激に縮んでいってるみたいに痛む。 最愛の人が自らの腕を切り付けて息絶えた姿は、母の目にどんな風に映った? それを思うとやるせなくて、悲しい。 「僕の怪我を見て、お父さんの傷だらけの腕を思い出しちゃったんだね……。」 祖父は黙っていた。 僕も言葉を継げなくて、じっと腕を見ていた。