「私も、この子が傷付くのは嫌です。大事な孫ですから。」


祖父は僕の頭に軽く触れながら呟く。
その切ない瞳は僕をも切なくさせた。


「ですが二人は親子なんです。拓海はカスミさんを、とても大事に思っている。」


祖父は真っ直ぐに内藤さんを見る。内藤さんはその視線を真正面に受け止めた。


「辛い事を見ないように目を覆うばかりが愛ではない。傷は私達が癒やせば良いのです。」

「じいちゃん……。」


優しく微笑む祖父の顔。
やはり祖父には敵わないと思った。